『調査員のおすすめの逸品』は、芸歴○○年を誇る調査員がこれをぜひ皆様に知ってもらいたいという豪華な一品?を取り上げ、それにまつわるエピソードをまじえながら紹介をしていきます。毎月2回、隔週の掲載を予定しています。

調査員のおすすめの逸品 №350ー「なぜこの絵が安土城考古博に⁉」―希少な名品・葛蛇玉(かつじゃぎょく)筆『鯉魚図(りぎょず)』 

1 瞳の微妙なグラデーション

 安土城考古博物館は歴史博物館なので、歴史事象を示したり考察できる資料を主に展示しています。絵画や工芸品などの美術作品も展示ケースに並びますが、その美を堪能する前に、歴史的にどういう意味があり、どういう事実が秘められてい […]Continue reading «調査員のおすすめの逸品 №350ー「なぜこの絵が安土城考古博に⁉」―希少な名品・葛蛇玉(かつじゃぎょく)筆『鯉魚図(りぎょず)』 »

調査員のおすすめの逸品 №349ー「展示室の隅っこで見たことある?―博物館の保存環境管理の道具―」

写真1 設置しているトラップ

 博物館で小学生の団体を案内していると、子ども達から「落とし物見つけました!」と声をかけられることがあります。渡されたものを見てみると、写真1のような小さな箱であることが時々あります。しかし、これは落とし物ではありません […]Continue reading «調査員のおすすめの逸品 №349ー「展示室の隅っこで見たことある?―博物館の保存環境管理の道具―」»

調査員のおすすめの逸品 №348ー「ごみ」について考える~その1~

写真2 写真1の幼児の首辺りにあったヤカドツノガイ製のビーズ

 みなさんにとって、「ごみ」ってなんでしょうか?いらない不要なもの?汚れたきたないもの?だから捨てる/捨てたもの?簡単に述べればそんな感覚、イメージでしょうか。  歴史の授業などで、例えば縄文時代の貝塚は「ごみ捨て場」だ […]Continue reading «調査員のおすすめの逸品 №348ー「ごみ」について考える~その1~»

調査員のおすすめの逸品 №347ー食生活を支えた縄文人の知恵~アク抜きした”とち”の実を食す~

写真1 外皮に覆われた”とち”の実

 実りの秋を迎え、果実や木の実が美味しい季節となりました。これらには昔から食されてきたものがある一方、現代ではほとんど食べられなくなったものもあります。“とち”の実もそのひとつです。近年では、多くは“とち餅”として、観光 […]Continue reading «調査員のおすすめの逸品 №347ー食生活を支えた縄文人の知恵~アク抜きした”とち”の実を食す~»

調査員のおすすめの逸品 №346ー関東からやってきた祭りの石

小川原遺跡出土の石棒

 写真にある細長い石は縄文時代に流行する石棒(せきぼう)と呼ばれるお祭りの道具です。縄文時代中期終わり頃からから後期の初め頃には、頭に笠をもつ男根状を呈しますが、縄文時代後期の中頃になると写真のような棒状のものが使われる […]Continue reading «調査員のおすすめの逸品 №346ー関東からやってきた祭りの石»

調査員のおすすめの逸品 №345《滋賀をてらした珠玉の逸品⑳》黄金色に輝く皿の正体は?ー佐和山城跡の秤(はかり)の皿ー

佐和山城跡出土の秤の皿

 滋賀県には数多くの城跡が存在しますが、当協会ではこれまでに戦国時代の城から江戸時代の城まで、県内各地の城跡で発掘調査を行ってきました。平成30年からは国道8号バイパスの建設工事に伴って彦根市の佐和山城跡で調査を開始し、 […]Continue reading «調査員のおすすめの逸品 №345《滋賀をてらした珠玉の逸品⑳》黄金色に輝く皿の正体は?ー佐和山城跡の秤(はかり)の皿ー»

調査員のおすすめの逸品 №344 遺跡を測る~オートレベル~

写真1 オートレベル

 私たちは発掘調査によって、遺跡を記録していきます。けれどもそれらの記録は、方眼紙に描かれた線だけでは意味を成しません。三次元の情報である遺跡の姿を二次元の紙に写し取っているのですから、それを元の三次元情報に変換して理解 […]Continue reading «調査員のおすすめの逸品 №344 遺跡を測る~オートレベル~»

調査員のおすすめの逸品 №343 粘土(その2)-何も混ざっていない粘土-

写真2 粘土 (2)

 以前、このコーナーで、縄文時代のものと思しき謎の焼けた粘土のカタマリ「焼成粘土塊」(調査員おすすめの逸品No.307参照)、そしてさらに、「粘土」(逸品No.316参照)という素材そのもの、について観てきました。さて、 […]Continue reading «調査員のおすすめの逸品 №343 粘土(その2)-何も混ざっていない粘土-»

調査員のおすすめの逸品 №342《滋賀をてらした珠玉の逸品⑲》ビアジョッキのような須恵器ー近江八幡市上出A遺跡出土ー

初期須恵器・把手付き碗

 遺跡の発掘調査においては様々な遺物が出土します。多くの場合には、出土品の中心を占めるのは「土器」です。土器は主に食事や調理、あるいは貯蔵などの場面で使用されることが多く、人々の生活と密着しているため、出土量が多く、種類 […]Continue reading «調査員のおすすめの逸品 №342《滋賀をてらした珠玉の逸品⑲》ビアジョッキのような須恵器ー近江八幡市上出A遺跡出土ー»

調査員のおすすめの逸品 №341《滋賀をてらした珠玉の逸品⑱》用途不明の亀形銅製品ー大津市関津城出土ー

写真2 亀形銅製品

 関津城(せきのつじょう)は大津市南部の田上山(たなかみやま)から派生する丘陵先端部に築かれた、戦国時代の城跡として知られています。瀬田川の東岸に位置することから、近江の南の玄関口ともいえる水陸交通の要衝に立地しています […]Continue reading «調査員のおすすめの逸品 №341《滋賀をてらした珠玉の逸品⑱》用途不明の亀形銅製品ー大津市関津城出土ー»