調査員オススメの逸品 第187回 『弥生時代の「銅鐸」レプリカ―「復元品?」を持ち上げてみよう!』

 

昭和37年発見の大岩山銅鐸

昭和37年発見の大岩山銅鐸

大岩山昭和銅鐸の出土状況復元写真

大岩山昭和銅鐸の出土状況復元写真

 みなさんは、「レプリカ」ってご存じですか?以前、このコーナーの第173回 『古墳時代の「甲冑」レプリカ-「復元品」に触れてみよう!』で、「レプリカ」それから「復元品」・「複製品」について簡単にふれつつ、滋賀県立安土城考古博物館が所蔵・展示公開している復元品、栗東市新開古墳出土の鉄製甲冑のレプリカについてご紹介しました。ちなみに「復元品」は製作当時の状況を「復元」したもの、「複製品」は資料の現在の状況を「複製」したもの、そして「レプリカ」とは、これらの復元品・複製品を総称して使う言葉です。

 さて、実は、安土城考古博物館には、ほかにも色々な「レプリカ」があります。今回はその中から、銅鐸のレプリカをご紹介しましょう。
 安土城考古博物館で収蔵・公開されている銅鐸は、大岩山銅鐸と呼ばれる、国の重要文化財に指定された10口の銅鐸群です(新近江名所圖會 第21回 大岩山銅鐸出土地-謎多き銅鐸大量埋納池-で紹介してます)。昭和37年に、野洲市の大岩山というところから、結果的には3口ずつ3組、計9口と、ちょっと地点が離れて1口の、合計10口が見つかりました。ちなみに、この大岩山では明治14年にも14口の銅鐸が見つかっていて、昭和37年発見の10口と合わせると計24口もの銅鐸が出土していることになります。安土城考古博物館では昭和37年発見の10口を、野洲市にある銅鐸博物館では明治14年発見の14口も含めた全24口を、可能な限り総覧できるようにそれぞれレプリカで補って、常設展示を構成しています。
 現在、昭和37年発見の銅鐸については、原品の10口全てを滋賀県が所有し、安土城考古博物館と銅鐸博物館とで、5口ずつ実物資料を展示しています。ですから、安土城考古博物館では、上記の通り、昭和37年発見の10口を総覧できるように5口をレプリカ、「複製品」で補っています。さて、ここで問題です。安土城考古博物館には銅鐸のレプリカは全部で何点あると思いますか?実は、全部で11口のレプリカがあるんです。
 そもそも原品が5口あるので、レプリカは原品を保管していない5口分で十分のようにも思われますが、実際には、残りの5口、実物資料を保管管理している分についても、レプリカは用意されています。例えば、他館からの依頼を受けて実物資料を貸し出す際などに、レプリカを展示することで10口を総覧できるようするためです。つまり、この合計10点のレプリカは、銅鐸10口を並べて「観る」ために作られた「複製品」という訳です。

「少し中途半端な銅鐸のレプリカ」を持つ女児

「銅鐸のレプリカ」を持つ女児

 そして実はもう1口、先ほどの「観る」ために作られた銅鐸レプリカとは別に、安土城考古博物館の常設展示室に実際に展示されている「銅鐸のレプリカ」が1口あります。モデルは大岩山銅鐸のようですが、大岩山銅鐸を参考にしたレプリカです。見た目は銅色とでもいいましょうか、赤っぽい、茶色っぽい、十円玉のような色をしています。銅鐸は主原料が銅なので、おそらくそれをイメージした色となっています。そして、レプリカの表面には実物と同じように細かい凸凹が表現されていますが、実は実物の凸凹の正体は、錆や表面に付着した土・砂なのです。それにもかかわらずその凸凹を原材料の銅色に着色してしています。もし複製品として錆や砂をも表現するのであれば、その色や質感は銅鐸そのものの部分とは区別しておきたいところです。例えば現状に近い緑色を基調としたものに仕上げるというのも、一つの方法だったかも知れません。
 さてこのレプリカ、実は「持ち上げてもらう」・「触ってもらう」ために作った、体験してもらうレプリカです。そして「持ち上げれば」当然、内面がどうなっているのかは気になるところなのですが、残念ながら何の細工もされておりません。それでも重さだけは、何となくそれなりの重さをしています。写真の女の子は、極端に言えばレプリカが醸し出す「それっぽい雰囲気」と、「重さ」を頼りに、一生懸命抱えて銅鐸を感じているところです。彼女の口からは「銅鐸ってこんなに重いんやねえ!」という感想がありました。

 厳密にみれば、確かにレプリカではありますが、彼女にとっては、もしかするとその雰囲気と重さを感じるだけでも、実は十分良い体験になったでしょうし、「銅鐸を体感してもらう」ことはできたのかも知れません。「レプリカ」も捨てたモンじゃない、そんな風にも考えられそうです。そんな「触る」「持ち上げる」ために用意された銅鐸レプリカ、今回はこれを「逸品」として紹介させていただきました。皆さんも、安土城考古博物館に行かれた折には、この「銅鐸レプリカ」、是非持ち上げてみて下さいね。

鈴木康二

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