調査員のおすすめの逸品  №257  機械仕立てのタフな運び屋  クローラーダンプ

乗車式のクローラーダンプ

写真2 乗車式のクローラーダンプ

不整地運搬車

写真1 クローラーダンプ(歩行式)

 今回はどの発掘現場にもあるわけではありませんが、けれども、あるととっても重宝するマシーンをご紹介しましょう。その名を「クローラーダンプ」といいます(写真1)
 クローラーダンプは一般的に「不整地運搬車」というカテゴリーに入るようで、 通常のダンプカーでは走行できない整地されていない地面で、土砂や荷物を運搬できる特殊自動車と定義されています。キャタピラー走行であるため、軟弱地盤や傾斜地などでの作業が可能で、さらに、左右のキャタピラーが独立して駆動するため、その場で旋回もできるので意外と小回りがききます。また、荷台を傾けて積荷を下ろすダンプ機能を備えているため、 土砂等の運搬の使い勝手は最適です。

クローラーダンプ使用例

写真3 人力で持ち運べない出土大型柱の運搬

 普段、工事現場などでよく使用されているものは、操縦席に人が乗り込んで運転する「乗車式」と呼ばれるもので、積載能力が500㎏~4tもある大型のものです(写真2)。こちらを運転するには「不整地運搬車運転者」の資格が必要となります。
 一方、我々が使用しているものは「歩行式」と呼ばれるもので操縦席はなく、手押しの運搬車(一輪車など)に小型エンジンを取り付けたものの延長上にある車両といえます。最大積載能力も500㎏以下で、用途に着目して極端に言えばエンジン動力付き一輪車とでも言えましょうか。ちなみに、「歩行式」タイプは座席がありませんので、特殊自動車には含まれません。
 さて、発掘現場でどのような使われ方をしているかですが、やはり本来の用途の通り、悪路での廃土運搬に最も力を発揮します。その場その場で地質の異なる発掘現場では、時に水が湧き出し、粘土質の土が重厚に堆積する大きな川跡を掘削しなければならない場合があります。この場合、一輪車では足元が悪く、重量のある掘削土を運ぶには滑って転倒などの危険を伴うことがあります。

クローラーダンプ使用例

写真4 多少の悪路もへっちゃら

しかし、クローラーダンプは疲れ知らずのうえ、安定して土砂を運ぶことができます。ただし、ダンプ本体の重量も相当なものであるため、通路にコンパネなどを敷いておかないと調査する地面(遺構面)を傷めてしまうこともあり、少し注意も必要です。
 また、調査に使う大量の土嚢やコンパネ、杭といった資材の運搬や、人力では持ち運びが困難な大型出土品の運搬(写真3)にも使用します。ほかにも、地中に埋められていて調査後には分別しておかなければならないコンクリート片などの廃材を移動させる場合にも役立ちます(写真4)。
 現在、私が担当している発掘現場は、倉庫のある現場事務所から離れた調査区までは数百mもの距離があり、測量・掘削道具といった小物以外にも、発電機や水中ポンプなどの重量級の機材もその都度持ち運ぶ必要があります。ここではクローラーダンプが「動く倉庫」として活躍しています。
 動力付きの非常に重たい車両であるため、取り扱いや事故にはくれぐれも注意が必要ですが、疲れ知らずのタフな運び屋として発掘現場で活躍をしています。

(小林裕季)

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