
購入時のカシの柄がついたハンマー(上)
カナメモチの木に柄を替えたハンマー(下)
しかし大きなカシの木を切って製材なんて、そう簡単には手に入りません。そこで他の種類の木を探すわけですが、とても便利な良い木があります。「カナメモチ」という木です。生垣などによく使われる若葉が赤いあの木です(園芸店で売っているのは西洋カナメがほとんど)。山に行けばよく目にする程度に生えています。木肌は皮が剥けたザラザラした木ですが、木質は組織が緻密な散孔材で赤味がかった美しい材です。そして、気乾比重0.98(木材を乾燥させた時の重さと同じ体積の水の重さを比べた値。数値が大きいほど重く、小さいほど軽い:桐0.29、ヒノキ0.38、ヒノキ0.44、桜0.67、赤樫0.96)と国産材屈指の高い数値で、もう少しで水に沈む重さです。基本的に木は比重が重いほど硬く強いのです。

カナメモチの木
艶やかで透明感があり張りのあるきれいな葉です。 常緑樹で若葉は赤く生垣に好んで使われています。
ちょうど良い太さの真っすぐな木が結構生えています。これを必要な長さに切って使います。ゆっくりと上手に乾かせば芯持ち材でも割れずに乾かせます。だから面倒な製材も必要ありません。チョチョイと加工すれば最高の柄となるのです。こうして折れたハンマーは修理して蘇り、さらに元よりも良いものになってしまうのです。これリサイクルの極みです。
ちなみにこのカナメモチ、扇の要(かなめ)に使われたからカナメと名付けられたようで、物事の中心・大事なところにぜひ使いたいものです。他の利用としてお勧めなどが箸やシャモジ、スプーンなどの木製カトラリーなどです。カナメモチのもつ肌の美しさと強靭さが最高の逸品カトラリーを作り出してくれます。お手入れも簡単で長持ち、あなたもお一つ作ってみてはいかがでしょう。
(横田 洋三)