土器をはじめ、さまざまな遺物を詳細に観察することは、考古学の基本中の基本です。だから、考古学を学ぶ者にとって「モノが見られない(=観察できない)」といわれることは、かなり致命的です。

ペンライト
考古学者が小さな土器のかけらをなめるように見るのは、土器の破片に残されたさまざまな痕跡を読み取り、頭の中でそれらの痕跡を土器の製作工程のなかに位置づけすること、つまり、土器作りの過程を復元しているからです。あるいはまた、土器の文様の配置や施し方などを観察し、他の事例と頭の中で比較しながら、その土器の時間的な位置づけ、他地域との交流関係、さらには土器作りの具体的工程を考えているからでもあります。土器のかけらからどれだけ情報を引き出すことができるのか、そこに考古学者は挑み続けています。
土器を観察し、そこから少しでも多くの情報を引き出すには、さまざまな方法がありますが、何よりも見にくい痕跡を見えるようにすることが必要になります。そこで考古学者が使っているのがペンライトです。私も以前は、豆電球のペンライトを使っていたのですが、最近はLEDの製品を愛用しています。何より明るいこと、そして球切れの心配が少ないことが利点です。

ペンライトの使用例
(辻川 哲朗)