
多景島遠景(北より望む)
みなさんは厄除けをしたことがありますか? 厄除けとは、身の上によくないことが起こったときに神社などでお祓いを受けたりすることです。神社に行くと、「今年の厄年」と書かれた看板が立てられています。数え年でその年齢になる方はその神社で厄祓いをして下さい、という神社の宣伝みたいなものを見たことがある方も多いと思います。厄年を中心に前後3年間は、体調面も含めてよくないことが起きるので気をつけようということなのでしょう。

「厄除」かわらけ集合
そんなかわらけ投げに使われたと思われる皿が、彦根市多景島遺跡で見つかっています。多景島の周囲は切り立った崖で、船が接岸できるような場所はありません。そのような岸壁近くの湖底から、たくさんの土器とともに、土師器の小さな皿に「厄除」の文字が陰刻されたものが、全部で10枚近く見つかっています。この皿は、その特徴からおそらく戦後に作られたものと思われ、島の岸壁から琵琶湖へ向かって願いを込めてかわらけを投げている光景が浮かびます。彼らの願いはかなったのでしょうか。多景島は祈りの島と言われ、「厄除」かわらけのほかにもたくさんの祭祀遺物が見つかっています。その詳しい内容は、2014年3月に報告書が刊行されますのでお楽しみに。

「厄除」かわらけ
(三宅 弘)