新近江名所圖絵 第291回 過去の道、今の道、現在に伝わる古代の官道の跡

 現在、過去、未来、人が歩くところに道があります。道には野山の道から多くの車が行きかう国道までいろいろな道があります。京都から大津、草津とつながる国道1号は、現在の湖南地域の幹線道路として、日々、朝夕、多くの車や自転車、歩行者が行き交っています。国道・県道・市道など大小さまざまな道が整備された現在とは違って、昔の道はどのようなものだったのでしょうか。
 天武天皇に始まった道路の整備は、奈良・平安時代には、律令国家の整備ともに全国に主要官道が巡らされます。滋賀県、当時の近江国では、東山道が瀬田橋を通り、勢多の駅に比定されている堂ノ上遺跡を通り、近江国庁(新近江名所圖会第85回 古代の滋賀県庁-近江国府跡)の南端に至ります。近江国庁の北端からは、現在にも引き継がれる直線道路が東山道に推定されており、琵琶湖方面に向かって北上し、今の大津市大萱町付近で、右に折れて、草津方面に向かいます。こうした官道は、近年の発掘調査で路面の両側に側溝を備えた幅12mの直線道であることがわかっています。

大津市大将軍付近

大津市大将軍付近

 近江国庁付近の標高は約105mであり、大萱町付近の標高は約91mであることから、近江国庁北端から出た東山道は、比高差10m以上の坂道を道幅12mもある道路が一直線に続くことを想像すれば、現在の国道1号よりも立派な道だったといえるのではないでしょうか。この道路は、現在も道幅を狭め、大萱町付近を右折後、大津市大将軍までは、直線道が今も生活道路として使われています。少し距離はありますが、古代の東山道に想いをはせながら、近江国庁跡から大将軍まで現在の道路をウォーキングするのも健康と歴史を体感することができるかもしれません。

 今回紹介した道以外にも県内各地で、古代の道と現在の道が重なっているところは、多くあります。すでに多くの方々が実践されている地元の歴史や古代の道を調べ、その道を歩きながら地元の歴史の深みを体感することは、風景を楽しみ、歴史を学び、健康にも良い、これからの桜の季節には最高の楽しみになるのではないでしょうか。

大津市大江4丁目交差点

大津市大江4丁目交差点

おすすめpoint

 国道1号と東山道が交差する大江四丁目交差点は、交通量も多く、車や通行者に注意が必要ですが、現在と昔の官道を比べて、想像するには絶好の場所です。

アクセス

近江国庁跡へは

【公共交通機関】
 JR琵琶湖線石山駅下車 
 近江バス瀬田駅行きほか神領団地下車 徒歩5分
【自家用車】
 名神高速道路瀬田東IC・瀬田西ICから5分、
 建部大社のみ駐車場あり
 大江四丁目交差点へは瀬田駅から南西に徒歩約750m(徒歩9分)
 

(中村健二)

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