新近江名所圖會 第287回 伊達家に縁の地 東近江市上羽田~徳昌寺・陣屋跡~

「伊達家」と聞いてまず何をイメージされますか?江戸時代に仙台藩領主として、陸奥国(現在の宮城県及びその周辺)をおさめていたことは、よく知られていると思います。しかし実は、伊達家の領地は、陸奥国以外に、常陸国(現在の茨城県周辺)や、そしてこの近江の地にもありました。江戸時代初め頃の近江には、旧蒲生郡・野洲郡を中心に、多い時で一万石近くあったことが分っています。現在の東近江市上羽田町には仙台藩の陣屋が置かれ、その北側に位置する徳昌寺は、伊達家の近江における菩提寺的な役割を果たしていたとも言われています(写真1)。

写真1 徳昌寺

写真1 徳昌寺

徳昌寺は、臨済宗妙心寺派の寺院で、ご本尊には南北朝期に作られた薬師如来座像が鎮座されています。創建の詳細についてはよく分っていないようですが、江戸時代初め頃には妙心寺派の寺院として上羽田にあったようです。また境内には徳昌寺遺跡とよばれる文化財包蔵地もあり、鎌倉~室町時代頃の所産とされる土塁や堀、羽釜や灯明皿等の出土品も確認されています。

また羽田陣屋跡は、東近江市上羽田地区の中心部、円通寺の北側に位置しています(写真2)。仙台藩が1664年に設立したことが分っていて、その規模は東西54m、南北133mに及ぶ大規模なものであったと伝わっていますが、現在は同地に長屋門と、陸奥国一宮・盬竃神社から陣屋の鎮守として勧請された盬竃神社が遺っています。

写真2 陣屋跡

写真2 陣屋跡

◆おすすめpoint
陣屋跡・徳昌寺のいずれにも、仙台藩伊達家に縁のあることを示す案内板等は掲示されていません。そういった意味では、知る人ぞ知る穴場スポットと言えるでしょう。近江に仙台藩伊達家ゆかりの寺院や陣屋跡が、現在も遺っていることが、まさにおすすめpointです。
 
◆周辺のおすすめ情報
佐々木六角氏の重臣後藤氏の在地居館跡といわれる後藤館跡や、元々は羽田荘の総社だった羽田神社などが近在しています。後藤館跡には中世の土塁や石垣が遺されており、全容こそは分りませんが、往時を偲ぶことができます(写真3)。

写真3 後藤館跡/土塁

写真3 後藤館跡/土塁

◆アクセス
【公共交通機関】近江鉄道「市辺駅」から徒歩30分。
【自家用車】名神高速道路蒲生スマートICから5分
※但し、徳昌寺・羽田陣屋とも専用駐車場はありません。

(鈴木康二)

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