新近江名所圖会 第199回 ご本尊秘仏14年ぶりにご開帳!-湖南市 岩根山善水寺-

写真1 善水寺本堂

写真1 善水寺本堂


写真2 本堂から百伝池をのぞむ

写真2 本堂から百伝池をのぞむ


写真3 善水元水

写真3 善水元水


 旧甲西町岩根(現在の湖南市岩根)に位置する善水寺は、旧石部町(現在の湖南市)の長寿寺・常楽寺とともに、「湖南三山」として古くから知られる天台寺院です(写真1)。
 その縁起は奈良時代に遡るとされ、和銅年間(708~715)に元明天皇の勅命によって鎮護国家の道場としてこの地に草創された、と伝えられています。寺号の由来は、桓武天皇がご病気になられたさい、伝教大師最澄が今の境内地にある「百伝の池(ももつてのいけ)」(写真2)の水を病気平癒を祈祷して霊水として献上したところ、すぐにご病気が快癒されたことから、「善水寺」の寺号を賜ったとされています。それ以来、天台寺院として繁栄したと伝わっています。残念ながら、延文5年(1360)火災によって本堂が焼失してしまいましたが、足掛け七年の歳月をかけて、貞治5年(1366)に現在の本堂が再建されました。
 さて、この本堂、桁行七間・梁間五間の一重の入母屋造の建物です。屋根は檜皮葺で、堂の正面に向拝を持たないことがその特徴の一つであり、屋根の優美な曲線が非常に印象的な造りとなっています。明治32年(1899)に古社寺保存法によって特別保護建造物に指定され、翌33年(1900)に解体修理が行われています。さらに、戦後の昭和29年(1954)には、現行の文化財保護法にもとづいて、あらためて国宝に指定されました。また、本尊の木造薬師如来坐像を納める入母屋造り・こけら葺の本堂附厨子もこの時に追加指定されています。
 本尊は木造薬師如来坐像で、明治37年(1904)に古社寺保存法によって国宝に指定され、明治39年(1906)に解体修理が行われています。そのさいに、本尊の胎内より多量の稲籾と正暦4年(993)の年号が記された「結縁校名記」が発見され、これによって造像時期が判明しました。昭和25年(1950)の文化財保護法制定によって、重要文化財に指定されています。なお、この本尊は古来より秘仏とされていましたが、御開帳の周期はとくに定まっていなかったようです。ちなみに、現存する記録からは、元禄5年(1692)・昭和24年(1949)・平成13年(2001)に御開帳されたことが確認されています。
 このほかにも、本堂内には本尊を取り囲んで,木造の梵天像・帝釈天立像・四天王立像が安置され,さらに僧形文殊菩薩坐像・不動明王坐像・兜跋毘沙門天立像といった、いずれも重要文化財に指定されている平安時代の近江を代表する古像が、ところ狭しと安置されています。本尊のお厨子を囲んで並び立つその様は、とても荘厳な雰囲気を醸しており、一見の価値はあります。
おすすめPoint
 なんといっても、お勧めは秘仏御開帳です。平成27年4月19日から6月14日まで、14年ぶりにご本尊が御開帳されていますので、この機会にぜひ御参拝ください。ちなみに、次回の御開帳の予定は決まっていないそうですから、今回は大変貴重な機会です。
 また、前述の桓武天皇のご病気が快癒されたという「霊水」は、今も境内で汲むことができます。善水元水(もとみず)と呼ばれるこの霊水は、現在境内に湧出している井戸から汲み上げられており、持ち帰ることができます(写真3)。ぜひ一度、という方はペットボトル等のご準備をお忘れなく。
周辺のおすすめ情報
 善水寺とともに「湖南三山」として親しまれている、旧石部町の長寿寺・常楽寺も訪ねてみたいところです。長寿寺は、聖武天皇の勅願により、良弁が天平年間(729~784)に創建したと伝わる寺院です。国宝の本堂は鎌倉初期の建築で、内陣にある春日厨子も国宝です。また、室町末期に建てられた弁天堂は重要文化財に指定されています。常楽寺は良弁が元明天皇の勅命で和銅年間に開山したといわれ、国宝の本堂には重要文化財の釈迦如来坐像などが安置されています。そのほかにも室町時代に建てられた国宝三重塔を見学することができます。
善水寺へのアクセス
【公共交通機関】JR草津線甲西駅下車、湖南市巡回バス下田方面行き「岩根」下車、北へ徒歩10分。JR三雲駅下車、タクシーにて15分(約3.9㎞)。
【自家用車】各方面より、「甲西大橋北詰」北上4㎞、十二坊温泉経由。または名神竜王ICより国道477号・県道13号を経て、「下田南」交差点を西へ3㎞、十二坊温泉を目指す。山上に無料駐車場あり、大型バス乗入可。

(鈴木康二)

カテゴリー: お知らせ, よみもの, 新近江名所図会   タグ:   この投稿のパーマリンク

コメントは受け付けていません。